【わかりやすい】消化管の症状まとめ

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【わかりやすい】消化管の症状まとめ

消化管は口腔から肛門にいたるまで、その異常により様々不快な症状がみられます。これらの症状を把握することが、患者にどのような異常が起こっているのかを見極め、患者の訴えを解決する第一歩となります。

case1.便秘

便秘とは、通常の排便習慣より著しく排便回数排便量が減少した状態をいいます。

そして、便秘には腸管の癒着や腫瘍などによる狭窄のために生じる器質性便秘と、特に原因疾患がなく生じる機能性便秘の2種類があります。

 ★器質機能の違い
器質的とは、臓器そのものに炎症や癌などがあり、その結果として様々な症状が出現する病気や病態のことをいいます。
機能性とは、臓器には何も異常は無いにもかかわらず自覚症状だけがある病態をいいます。

さらに、機能性便秘は、直腸性(習慣性)便秘弛緩性便秘けいれん性便秘に分けられます。

では、もし患者さんに便秘の症状が見られたら、どのようなことが必要なのでしょうか。もちろんの下剤の服用などの薬で解決することが臨床では多いですが、薬を投薬する前に、食生活の改善や工夫排便習慣の確立を行いましょう。

例えば、水分は腸管内の水分吸収を促進させ、排便を促す作用があるので、便秘の患者さんには水分を多めに、さらには食前にとってもらうことを推奨します。
また、腸粘膜に適度な刺激を与え、腸管の蠕動運動を高めるために、繊維質の多い、植物性食品をとることが効果的とされます。

最後に、看護師は患者の便秘改善を評価する指標として、食欲腹痛腹部膨満感の有無排便量・回数腸蠕動音を利用します。覚えておきましょう!

case2.下痢

下痢は消化管異常としてよく聞く症状の一つですが、それは腸液分泌亢進腸管蠕動運動亢進のため、過剰な水分が吸収されず、排便の回数が増加し、液状もしくは軟便を反復排泄する状態をいいます。

また、下痢には急性下痢症慢性下痢症の2種類があり、その主な原因は以下の表になります。

上の表の急性下痢の原因の一つである細菌性下痢の原因の一つに、細菌が発生する*エンテロトキシンという毒素があるので覚えておきましょう。

*エンテロトキシン:菌体外毒素の総称。コレラ、大腸菌、ブドウ球菌、ウェルシュ菌、セレウス菌などが産生し、下痢などの原因となる。

下痢では、腸管の蠕動亢進と腸液分泌亢進による便の水分過剰により、脱水あるいは電解質異常(特に低K血症、代謝性アシドーシス)がみられます。よって、その症状をなくすような対応がもとめられます。

case3.下血と血便

下血と血便はどちらも肛門から血が出る状態をいいます。ではこの2つの違いは何でしょうか。それは便の色の状態です。

下血は古い血が混じることにより、便が黒くなっている状態を指します。一方で、血便は便に鮮血が混ざっていて赤色の状態ものを指します。

 下血は黒色
 血便赤色

下血の症状が認められる患者に対しては、消化管の安静のため禁食とします。

case4.吐血

吐血とは血性の嘔吐であり、一般にトライツ靭帯より口側の上部消化管からの出血でみられる。主に食道からの出血では新鮮血からの出血では黒色の血性嘔吐を呈します。

吐血が見られた場合、出血部位の確認と止血のため、緊急内視鏡検査を行います。

皆さんがよくきく胃洗浄は、出血をきたしている血管を収縮させ止血を図る目的で、冷やした生理食塩水を用います。

皆さんが吐血患者を管理する際、大切なことは、失血によるショック死や吐いた血の誤飲による窒息死の防止、さらには出血部位の止血です。飲食は禁止とし(刺激による出血のおそれがあるため)、意識レベルをふくむバイタルサインに注意します。

case5.悪心・嘔吐

悪心とは嘔吐が起こる前の状態であり、不快感苦痛を伴うことが多いです。一方、嘔吐は胃内容物が食道を通って逆流し、口腔内へ戻り、排出される生体の防御反応のことです。

悪心:嘔吐が起こる前の状態
嘔吐:胃内容物が食道を通って逆流し、口腔内へ戻り、排出される生体の防御反応

ではなぜ悪心・嘔吐が発生するのか。その原因は延髄にある迷走神経背側核付近にある嘔吐中枢が刺激されるからです。

さらに、嘔吐には消化管からの刺激が神経系を介し、間接的に嘔吐中枢に伝わることによる反射性嘔吐と、脳圧亢進や抗癌薬などの薬剤により、直接延髄の嘔吐中枢が刺激されることによる中枢性嘔吐の2種類があります。

嘔吐の原因としては、消化器疾患のほかに、脳腫瘍、くも膜下出血などの頭蓋内圧亢進症状薬物・毒物(体内産物であるケトン体なども含む)、妊娠悪阻(おそ)、乗り物酔いによる迷走神経反射などを考える。

case6.腹痛・腹部膨満

腹痛

腹痛はその発生機序から、内臓痛体性痛関連痛に分けられます。

内臓痛は、管腔臓器の進展・拡張・収縮によって生じる。交感神経を介して大脳皮質に伝えられるため、鈍い痛みを生じ自律神経症状を伴う、ただし、痛みの部位は明確ではありません。

体性痛は、壁側腹膜、小網、腸間膜、横隔膜に分布する知覚神経への炎症痛、機械的・化学的刺激が。体性神経を介して大脳皮質に伝えられることにより鋭い痛みを生じるものです。痛みの部位は明確です。

関連痛は激しい内臓痛が脊髄内の近辺の神経線維に伝えられ、その神経が支配している皮膚に痛みを感じます。

各臓器が刺激を受けたとき発生する腹痛の部位は以下のようになります。

一般に消化管による腹痛は、排便や嘔吐により軽快する。

腹部膨満

腹部膨満は、腸内ガスの貯留(便秘、イレウス)、腹水の貯留(肝硬変など)、腫瘤(卵巣腫瘍)などによって生じる。

腹部の触診
腹部の触診は、聴診のあと、腹壁を弛緩させるために膝を屈曲した状態にして浅い触診から深い触診の順に行う。
痛みのある場所から触診すると腹壁筋の緊張が起こり、その後の触診所見が不明確となるため、疼痛の強い部分の触診は最後に行います。
いかがだったでしょうか?今回は消化管の症状について、6つに分けてかきました。この消化管の症状で注意すべきは症状と疾患を同じものとしないことです。例えば便秘などは疾患ではなく、消化管の症状となります。この部分を勘違いしないようにしましょう。

 

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